黄金の牛(更新中)/みつべえ
ことにしましょう。
神はいつも岩の上にすわり、青空を眺めてくらしておりました。ときどき湖畔におりて、木々や草花のなかを散策することもありました。さっきうっかり言ってしまったのでそのセンでいくことにしますが、この神は復活と再生のちからの変化でありますから、たとえば吐息なんぞを、ちょっとでも浴びようものなら、それが何であれ、たちまち蘇って生を謳歌する宿命を付与されるのです。死んだ動植物に神が息を吹きかけると、いきなり動物は生き返って駆けまわり、植物は遡及して花をつけるのでした。
さて、湖から出た川が下流へ十日ほど旅した平野に、何でもよいのですが、えーと、「タイラー族」の部落がありました。か
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)