宴に座る、シニカルに/御笠川マコト
いつものように
祝辞が始まる
この宴に集う者たちが
退屈を共有する合図となる
今日の見せ物たる事を
志願した新郎新婦は
体の向きすら
自分達では決められない
結婚すれば
ちょっと昔の恋なら
薄く出来ると
思ってるんだろう
結婚してから
痛々しく懐かしいのが
ホントの恋なのに
いつものように
中年男が乾杯を叫び
誰もが安っぽいシャンパンの
まずさを確かめている
声の高い司会者が
宣伝車のように
叫び続けている
そして俺は
つまらない余興に
欠伸をするのではなく
つまらない日常に
欠伸をするのだ
一夜明け
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