宴に座る、シニカルに/御笠川マコト
 
いつものように
祝辞が始まる
この宴に集う者たちが
退屈を共有する合図となる

今日の見せ物たる事を
志願した新郎新婦は
体の向きすら
自分達では決められない
結婚すれば
ちょっと昔の恋なら
薄く出来ると
思ってるんだろう
結婚してから
痛々しく懐かしいのが
ホントの恋なのに

いつものように
中年男が乾杯を叫び
誰もが安っぽいシャンパンの
まずさを確かめている
声の高い司会者が
宣伝車のように
叫び続けている
そして俺は
つまらない余興に
欠伸をするのではなく
つまらない日常に
欠伸をするのだ

一夜明け
[次のページ]
戻る   Point(1)