僕らの日々/塔野夏子
 
いくつもの風が過ぎた
いくつもの雨が過ぎた

いつ結んだ思い出だったろう?
   僕の地平をゆく青い旅人に
   君の塔に棲む白い少年が手を振る

日と月とがめぐる 星座がめぐる
幾重にも闇と虹とが訪れる
世界に傷つきながら 世界を傷つけながら
僕らは僕らの日々を行き交う

どこで交わした夢だったろう?
   君の舞台で踊る三月の踊り子に
   僕の窓に凭れる六月の詩人が憧れる

いくつもの眠りが過ぎた
いくつもの目ざめが過ぎた

ごらん 僕らの手のひらから出航した小さな舟たちが
透明な空をまだ見ぬ彼方へ 辷り去ってゆくよ




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