風/
草野春心
ある日の授業で先生が言った
宇宙を暗唱してください
興奮したように
エントロピーやら引力やら
べらべらと捲くしたてた委員長は
廊下に立たされた
次に君が手を挙げた
そして、
その先は何も憶えていない
光のように
音もなく風が流れていた
校庭にそびえる大きなけやきの樹
遊具たちに記された静かな約束
その先は何も憶えていない
ただ
その日確かに僕が
君を好きになったこと以外は
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