あかいふうせん/夢人めーぷる
　
あたしの
あかいふうせんに、かわいいハートがひとつ。

あたしね、ママになるの。

二十歳になったばかりの日

お酒もタバコも、すごくわくわくした。
おとなに酔った、そんなあたしに彼は『お仕置き』と称して、あたしに小さな命を宿したの。

“本当は望みを叶えてくれたのに、そんなサディストを気取るところも好き。”

あたしね、ママになるの。
ときどき小さな命は
痛みであたしを誘惑する。

あたしは
まだまだおとなになったばかりでわからないことはいっぱいあるけど、
早く会いたいな。やさしいママになりたい。

彼はそんなあたしのあたまを撫でてくれる。

“やっぱり、あなたには敵わない。”


空に虹ができたみたいに
あかいふうせんの命にうっとりした。

赤ちゃん。
あたしと、彼の赤ちゃん。
背伸びすることもあるし、泣いたりもするし、
でもね、やさしいママになるよ。


もうすぐ、誕生日だね。

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