サラとスズメバチ/たもつ
 


サラは低所得者用の公営住宅に住んでいる
ある日、軒下にコガタスズメバチの巣ができていた
トックリ状の形をしていて
入口が長く下に向かって伸びている
サラには就学前の二人の娘がいた
年下の亭主は失業中で
アルコール依存症が進行していた
サラは役場に電話し巣の駆除を依頼した
防護服を貸すので自力で駆除するか、
業者を紹介する、もちろん費用は自己負担で、
と言われた
サラは家庭の状況をなるべく詳細に説明した
それでも何も覆ることはなかった
紹介された業者に電話をした
サラのほぼ五日分の賃金にあたる額を要求された
サラは自分で駆除することを決意した
役場で防護服を借
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