ミルキーウェイ/三条麗菜
 
夜の空にかかる大きな河を
私はまだ肉眼で見たことが
ないのです

日常生活の光は
私に空を見ることなど
許してはくれない

私が疲れて眠っている間に
胸の奥から生まれてきた
誰にも与えることがなかった星たちが
あの空にかかっているはずなのです

それらは寂しくて
それらは誇らしくて

ミルキーウェイの傍らを
子供たちを乗せた列車が走ります
車窓からは中州にそそり立つ
祈りのしるしが見えたといいます

成長させる力はあるけれど
命を生み出す力はない
そして命の気配はないけれど
命を包み込む温かさがある

それは寂しくて
それらは誇らしくて


[次のページ]
戻る   Point(6)