りりり/八男(はちおとこ)
 
詩人の心は寛大だ 月が欠けても 

怒りも見せず 歌って笑ってる



詩人の心は寛大だ 馬鹿が張り裂け

山が突き出し 尻を振って歩く牛のように


詩人の心は寛大だ しぼんだしゃぼん玉を

たわしにして 胸元を洗っている


詩人の心は寛大だ 熱いコーヒーを燃料に

椅子に着地している 腰の感触に全力を注ぐ


詩人の心は寛大だ いつか老いたときのための

一本の杖のことを 白昼想っている


詩人の心は寛大だ 蠅を祓うように文字を

百足を踏みつけるように 冗談を


詩人の心は寛大だ 死刑に鉛筆を使い

ラーメンに唇を光らせ
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