物の印象。/吉澤 未来
 



日替わりの絵画


ハガキ

ハガキなのだけれど
絵ハガキにはなれなかった
悲しい
ハガキなのだけれど
机の中でうずくまっている
寂しい

誰かが窓を開けて
僕の肩に手を置いて
背中を押してくれる日まで
僕はずっと待っていなくちゃ

ココア

茶色い粉の浮かぶ表面
すすると甘くほろ苦く
今日一日の疲れをこの苦味で
確認する
すっと消える肩からの荷物が
純白のミルクを汚した
茶色いこげたココアの味に
変って明日へと流れ出す
今日の味はきっと
また別の味へと


ペン

いつの間にか 気づかないうちに
いくつも転がっている ペン
どこから来たのかも知らず 覚えもない
でも 目の前に転がっている
僕は彼を呼び寄せるまで
旅をした
君の短い旅を歓迎して
長い旅に連れてゆく
そのために
僕は君の隣にいる


ゴミ箱

いるものをいらないと思い
いるものをつくった

それはゴミ箱



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