ひとつ うつろい ?/木立 悟
はまだ
手のひらがある
ひとさし指と土が
熱のくちびるを数えている
たどりつかない無数の階段
朝の終わりのひとつ
橋の上の家
舌を照らす痛み
たどりつけない
十四分間の青空
川には川の崖と道
夜から朝へ
つづくともなくつづいてゆく
沈んだ森の 浅い息つぎ
青は青にひらかずに
青の下の墓地を見る
石を囲む白の柱
染めては染まり 去るものを見る
影が倒れ
刃を削る刃のかけらを隠す
隔てられたものらを近づけながら
夜は夜の終わりまで捨て置いてゆく
鳥が目指した冬は失く
何もない地が地にひろがる
枝をなぞる 枝ではないもの
何もない空へとひろがる夏
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