ノート(濡らし 濡らしても)/木立 悟
 





かたく包まれたものを見ている
濡らすたびにかたくなり
ほぐしたくてもほぐせないほど
ぴたりとはりつき 包んでいる


水の音がする
さかさまの
水の音がする
もとめずにもとめる
輪の音がする


つかり ひたる
からみ からめ
ほとばしる
騒がしい静けさに
降り積もる静けさ


遠い 遠い
波だとわかり やがて音と知る
くりかえす声が おのれの名と知り
爆ぜるようにあなたの名を呼ぶ















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