さくらぞめ/亜樹
はその暖かさと半比例するように軽い。 服のことは良くわからなかったが、高価な物であることは間違いなさそうだ。
「可愛いでしょう?」
「……そうだね」
沙名も家から持ってきた木製のスコップを手に取り、僕の掘った穴の脇にしゃがんだ。
木製のスコップで、僕よりずっと握力のない沙名は、僕の解した土を引っかくように掘り出す。
女物の沙名のジャケットは僕には少し小さい。昔は確か沙名の方が大きかったはずなのに、いつの間にか彼女の頭は僕よりも下になった。
沙名が嫁に行く家は金持ちだ。結婚前から何かと沙名に贈り物が届く。このジャケットもその一つであることは間違いなかった。
沙名の結婚する相手
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