くーるくるくる良い目眩/あおば
たときとかに
決められていたんだから
そんなに遅れるわけにはいかないぜと
小さな兄貴が横から口を出す
律儀な兄貴は几帳面
義姉さまとのお約束の買い物に出かけました
横着な弟は
引き籠もったまま
古い上着を繕っております
着た切り雀の甚平と綽名され
リサイクルショップの前では
首を縮めて立ち止まる
古着屋の前では胸を反らし
交差点を右に折れ
モノレールを頭上に感じながら
とあるビルの1階に辿り着いた
其所では月の出を合図に詩の朗読会が催され
遅刻してゲスト朗読を聞きそびれた人も居ましたが
月が杉の梢に隠れる頃までは賑やかな人の声に溢れ
夢中のうちに
チーズかまぼこの気配も失せて
お腹が空いたなぁと
誰もが感じる頃まで帰る人はいませんでした。
「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作
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