たどたどしい進法の季節、かさばる目覚めに血を掻いたなにか/ホロウ・シカエルボク
 




おれの存在は
ナシにした話みたいなもの
壊れたオートロック
煙を上げたラジオ
真夜中にズレこんで
サイクルをゆがませる
うまく流れたはずの流れ
わずかに残留して
腐敗を始めてゆく


嘘みたいなことしか書けない
嘘みたいなことしか書けないぜ
どんなに繰り返したって
本当のことはどこかの浅瀬に姿を隠してる
石みたいな小さな貝のようにさ
黙って満ち引きに耳をすませているだけなんだ


雨が続いて
あたりはまるで上手く出来なかった夜明けみたいに暗い
ただ雨が窓を叩いて
逝く宛のない協奏曲のようにとっちらかったアンサンブルを繰り返してる
フーキ
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