ひとつ うつろい ?/木立 悟
鼓動は通り
鼓動に還る
夜は
そこに無いように在る
夜の坂を下り
振り返る
夜を作るもの
何もなさを照らす
黄金と黒の
二重の円のなかで
せめぎあう何か
空に無い青に首をひたし
不自由な川をまとい
歩いている
冷たい柱のまわりの踊り
森は森へゆく
ひとりの原を つれてゆく
どこかで水が鳴り
あるいは自由になり
冬になる
夜に充ちる夜
言葉の逆
ほどかれた髪に
またたく粒
むらさきがふたつ
野の淵を抱き
揺さぶるように
雪降るように
歌っていた
こころみを燃し
応えてきた
ひらきひらきゆくひとつを見る
星を呑みつづける
球面座標第二虚象限の腕を見る
点に描かれた
ふるえのほうへ
未だ見ぬ夜を
たなびかせ たなびかせ
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