路地裏のはげしい雨にまぎれて/
ホロウ・シカエルボク
く
ランドセルやカラフルな小さい靴
アタッシュケースや契約の書類
エンゲージ・リングとウェディング・ブーケ
最初の夜と最後の夜の
寝入りばなに見たいくつもの
断片的な夢の残像
いつまでもいつまでも
激しい雨がつくりだす流れに飲み込まれてゆく
野良犬の遠吠えが聞こえる
「きみはひとりじゃない」
「きみはひとりじゃない」
おとこは
笑ったみたいに口をゆがめて
それから
動かなくなる
戻る
編
削
Point
(1)