路地裏のはげしい雨にまぎれて/ホロウ・シカエルボク
灰に帰したポエトリーと
そのそばでかすれた
老い始めたおとこの歌声
ほぼ消えた足跡を記憶の片隅で
なぞるように
歌って
なぞるように
雨が降り続けるだけのこの街かどじゃ
かれの歌声はどこにも届かない
だからこそかれは歌い続ける
その
ひとりぼっちにこそ安らぎがあったような気がして
偽ることのないこころがあるような気がして
ね、ベイビー
いつかしらみみもとで囁いたおんなの甘いハート
捨てられたレザージャケットみたいに雨に濡れて行く
すでに冷えたものがそうして濡れているのを
すでに消えたものがそうして冷
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