花びら/夜雨
 
 花びらが水面に触れる
 空が弾ける

 幾つもの水溜まりに
 浮かぶ幾つもの空
 統べる魔女のように
 君は花びらを散らし、空を舞う
 
 沈めた花の小箱に
 秘められた悔恨の鍵を
 振り上げた茨の鞭に
 刻まれた訣別の呪文を
 縒り合わされた木漏れ日の糸は
 真白い頬に迷宮を織り上げて
 君の指先に拾い上げる
 束の間の命

 花びらが水面に触れる
 空に弾ける
 
 あるいは荒ぶる、女神のように
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