ひとつ うつろい ?/木立 悟
 





涙をつむり
歩くときには
薄い窓がみな
薄い空に歩き出す


夜の鏡に像はあふれて
すぎるたび ただ
うしろに寄せて


幻にはさまれ
揺らぎながら
道は確かに在り
水は在り
空は在り


夜の金が
聞こえずに鳴る
生には救いが無い
生には 救いが無い


熱の終わりに降りてくるもの
常に裏側を言葉で満たし
居心地のよい嘘で在るもの


山の上に痛みが立ち
ゆうるりと街へ倒れゆく
夜は 憐れみを受ける
憐れみなどほしくはないのに



むらさきの音
近づく雨
ひとつの灯


光をくぐり
光をく
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