消えない一齣(五)/
信天翁
風が騒ぎだし 光が狂いだす
音は逃げ出し 声はずつき始める
夢の饗宴には まだらの白黒幕が張られ
おらはその隅っこでうずくまる
眼をとじ耳をふさぎ美酒も呑めずに
そのうえ 硬化した毛細血管の余命が
ジュピターの黙示で波だっている
あゝ だれも知りはしない
うたげの筵のしたに埋没してある
悶えと疼きが満ち固まった
ミイラのあることを
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