濡れた肩、濡れた胸/
御笠川マコト
雨がね
連れてくるのは
少し暗いブラウンの街
濡れた街。
若さの絶頂を過ぎた女は
傘をさすのにも
疲れてて
灰色のブラウスの
濡れた肩、濡れた胸。
髪の薄くなった男は
無精髭の混じった顎に
夜遊びの余韻と、後悔を
そして
濡れた肩、濡れた胸。
雨にね
石畳が濡れた時の
鉱石の匂いが
気に入ってんだ
だからね
雨の予感がしたら
小窓を開けて
わざとらしく そしてなにげに
外を眺めるんだ
雨を憂える
旅行者の気分になって。
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