待つということ/電灯虫
秒数に寄り添っている。
机に置かれた雑記帳は開かれて
そのページには事の顛末が書かれている。
角ばったロボットの
背中に背負ってるぜんまいが
ギリっと一回分回り
右足が一歩出て
バランスを崩して倒れる。
起きた風で
積もった一部のほこりが舞う。
何かの契機になれればと
不器用に願っている。
部屋の秒針は今も 今からも
時を一秒ずつ刻んでいる。
チッチッと目立つ音は
音が目立たてないその日を
今も諦めていない。
ドアが閉じられて
進まないために周囲から浮いた部屋は
鳴り続ける秒針に
何もかもを預けて待つ。
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