2007-2008.4 うつつ探し、あるいは刺青/はるな
ことばで繋ぎ止めることの軽薄と残酷を知っているつもりでいても、ことばに繋ぎ止められることは何だか快感であるような気持ちがする。ということをふっとおもった。ことばはとてもたやすい。信じやすい。信じやすいから、疑わねばならない。疑うべきものだからこそ、信じなければ始まらない。メビウスの輪のように裏(あるいは表)に辿着けない。もちろんわたしは生活や環境や感謝によって繋ぎ止められている。だけども自分以外の誰かのことばに繋ぎ止められてはいない。そうおもえば案外に平気な、丈夫な気分になる。
*
むねのとこがくぼんで、せつない懐かしいきもちになった。おかあさんと小学生のころの話をしたり、電車でほ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)