「花をもっていかないでください」/
冬野 凪
鉄塔が背伸びして笑っている
猫がみんなおりてきた
似たような家が並んでいる子どもの笑い声
時間通りに来ない電車を待っている蝶々
生ぬるい電車の中で夢を見た
艶かしい朝が来た湯を沸かす
足跡に名も知らぬ種子蒔いてみる
「花をもっていかないでください」春うらら
藪蚊に似たものを殺してしまった
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