車前草/あおば
 
失った
気がつくと
お供のものどもが
真っ青な顔をしている
傷の手当てをしてもらい
助三郎に命じ
街籠を雇って宿に帰り
忍びの者たちにも
口封じの弐分金を渡す
気の弱そうなものには
壱朱でも構わないと念を押す
財政緊迫の今
お蔵米の横流しだけは許せないと
助太刀に来たのにこの始末
情けない
期待はずれはこりゃ車前草
ずる賢い金貸しの前ではぺったんこ
手も足も出せません
お陰で崖から転落したではないか
ご威光もなんのその
痛い目に会ったよと
お供の格さんは呟いた
好いではないか
また来週に期待しようぜ
さすがに天下の副将軍
にっこりと
金平糖を頬張った







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を修正、タイトルは、小原 明季さん


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