刹那の雨/tomoyan*
 
刹那の雨が降り続ける

琥珀色の石を弾き 雨粒は静かに落つる

幾年もかけてその石に 刻み込んでゆく



この生涯よりも 長く 長くかけて



哀しみは刹那の雨


もっと強く大きいものが ここにある

僅かなことに 微動だにもせず

刻み込まれたものの尊さは 計り知れず

些細な感情の揺らぎなど ものともしない



流れ沁みこんでゆく雨粒の行方は


再び空へと


大きな連鎖の中の一瞬の揺れなど 何もなかったかのように



刹那の雨は降り続ける

幾年もかけて 刻み込む



琥珀の歴史


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