オキリクダサイ/シリ・カゲル
夕焼け空の下、
一本道。
見上げると、ひと群れの鳥たちが塒へ帰っていく
解けない最終定理を両手いっぱいに抱えて
夕餉のポテトサラダの匂い
紙をめくるのだけが速くなっていく毎日
でも少なくとも僕は死ねばお金になる
お金はこの世界には必要だ。
だから・僕は・この世界に必要?
突き当たりの土手から市電に乗って我が家に帰る
優先席にはお年寄りや体の不自由な方、
体調のすぐれない黒猫たちが座っている
携帯電話の電源はオキリクダサイだ
あまりに縁起が悪いから、靴紐は網棚の上に乗せた
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