対面のテーブル/電灯虫
 
左手をテーブルの下に置いたままが癖で
ご飯どきによく注意された。
立膝をついてもいいじゃん。
箸でおかずの上をさ迷ってもいいじゃん。
ぶつぶつ文句を
もごもごしながら
バレないように言った。
当の本人が背筋を伸ばし
スーツもバシッと着ていて
型どったように綺麗にご飯を食べるもんだから
こっちとしては粗探しをするきっかけも無い。
だから余計に自由を気取りたかった。


家庭科実習で女子の指示通りに
クッキーの型を取りながら
星型の生地を増やしていく。
生地だってこんな星に生まれるために
あんなに捏ねられていたんじゃないんだ。
今朝怒られた余韻でそんな反抗心も沸い
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