空についての四つの短編/石田 圭太
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とても固い結晶が
流水よりも早く融けるのを見た
蒸発したあの人の姿は
あの人以外の誰も知らない
釣竿を垂らして
静かな時間と彼方に見えるだろう思い出をじっと待った
煙草の煙を燻らせながらじっと待った
見つめた先では
くらげが力尽きて幾らかの時が経ち
間もなく溶けて海になるところだった
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しんしんと雨が降ると
決まって情けない顔の鬼がきて
つぶやいてくる
そこには愛がないねって
正直言って
愛なんて食べたことがないけれど
食べ方だって知らないけれど
雨が降る
見渡す限りの
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