ひとつ うつろい ?/木立 悟
静かに明るい
夜の午後の朝
ひとつの曇から
すべてはすべてにはじまってゆく
花の窓に映る午後
通りには
黒い服の人々が立ち
じっと空を染めている
路地へ路地へ
息はせばまり
いきどまりの扉
ぬけて産毛へ
夜を夜に曲がる声
積む景に積む景もなく
過去は今のように立ち並び
墓のようにも在りつづく
空と土のあいだが広く
明るく粗い茶色の街を
会うものもなく通りすぎた
しんと固まる 樹の道を
朝が ななめに降る
暗殺者 手を覆う何か
庇護の鳥
熱の波
流れのような冷たさの
ここにはいないものた
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