事勿れ主義/c
とろけるような綿菓子だと思っていた
濃厚なコンデンスミルクだと思っていた
綺麗なキラキラのビー玉
真夏のサイダーの炭酸の煌めき
つららから垂れる雫
輝いている
真っ白で
甘い
そんなものだとばかり思っていた
いえ、
それはあくまでわたしの凝り固まった理想で、
本当は
食べてみたら
とても苦くて
カカオ一〇〇パーセントのチョコのよう
(まんまと騙された)
それはそれは苦い
吐きだしてしまいたい
唾を吐き捨てて
一切をなかったことにして
またしても
理想に走るのです
(それが一番楽ちんだと
気づいているの)
なにくわぬ顔で
コーヒーでうがいをして
口いっぱいに理想をつめて
飲み込んでしまうのが
一番おいしい
(腹がふくれることはない)
そうして理想にわたしごと
にじんで溶けて
跡形もなくなれば
おいしく終わってしまえるのに
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