dvdを返した日/番田
泥の水しぶきが見えた
遠くで 鴨が日差しと戯れていた
私は持っていたはずの金を無くし
憧れていた 遠い故郷の アメリカへの思いを馳せるばかりだ
今日することは もう 無くした
これからのことを考えるのも 疲れた
目の前の段差で転んだ 女王蟻が
起きあがれないまま命の朽ちていくのを最後まで見ていた
山手線に出入りする人たちは さながら 虫のよう
立ち止まることは 誰も しないのだ
そういうのは 日本だけの話しなのだろうか
わからないけれど 疲れた
最近は アマゾンで 何でも買っている
人と会う機会自体が最近は無くなった
私には美しいと思える風景が少ない
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