夏の水葬館/ayano
水槽をぶん殴る女の子
届きもしない 白百合の揺籃
録音された声が漂う館内
あの子の死んだ声帯
―――わたしの髪は鉛のように重い
――どうかどうか泣かないでいて
―いまから眠る/共犯者でした
花を手に頽れる女の子
人類たちの縁に憧れていた
正真正銘たいせつなひと
特別にしてください
その悲しみにわたしは喜んでます―
疼く心の中にすべりこめると――
やりかたが卑怯でも平気―――
暗転
電車のドアに張り付くセーラー服と黒髪、片手に白百合を持っていた。「持って帰ってきちゃった」とこちらを見たから思いきり首を絞めた。悶えながら言った。「
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