飲み込めない話/山田せばすちゃん
☆最初の女の子
こくりと喉を鳴らして
彼女はそれを飲んでしまった
喉に引っかかるのか
小さな咳を繰り返しして
それからにっこりと微笑んで見せた
「おいしくはないよ、おいしくはないけれど
すきなひとのだとのんでもいいかなっておもうし
のんであげるとみんなうれしそうなかおするじゃない?」
僕はみんなの中の何人目だったのだろう
☆二番目の女の子
「ごめん、だしてもいい?」と
彼女は僕が差し出したティッシュの束の中に
口に含んでいたそれを吐き出した
車のフロントガラスは吹き付ける雪で真っ白で
ジーンズを穿き直してジッパーを上げて
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