私たち/電灯虫
 
指先を動かせば
共に動く。
指先十本で
繋がる糸。
受け継いでからの
この物理的な絆が私の頼り。


ランドセルを担いで一緒に歩いた。
小石をよけるには 
片足を上げて
歩を進ませなきゃならず
その時の重心移動が難しくて
何度もよろけさせ 
時にはこけさせてしまった。
ついた傷を消すように顔を拭った。
下手な自分の操り様が
当時の一番の悩みだった。


お花を摘むときは二人分。
自分の手ともう一つの手で。
自分のときよりも
繊細な力加減で摘まなきゃならなくて
それが好きだったから
必ず最後に 大切に摘んだ。


宿題してる時は
机の左端に座
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