少年と雲/朧月
 
想う ということは
一銭にもならないという
想う ということ
ただそれだけでいいという

想う だけじゃ
想っている だけじゃ
不安だという少年は
来る日も来る日も屋上で
想う が降りてくるのを待った
想う に見立てられた雲は
懸命に
想う を形作ろうと
もくもく もくもく
大きな空を泳いでいた
来る日も来る日も泳いでいた
少年の目の中はいつしか
白い雲でいっぱいになった


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