逃亡/マッドビースト
かったが
見渡す限りはサバンナで
振り返れば街の
匂いくらいは嗅げたのかもしれないが
やはり足は真っ白い地平に向いている
もう長いこと手もついて進んでいて
立っていたのは古い写真のような景色だけで
これはこれで目の前の草の色の濃紺や
花の蜜や虫の死骸で頭が一杯になるので
悪いことではない
それでもここでサバンナもきれる場所というのがあって
その先は砂漠だった
振り返ると少しまだ思い出せるものはあって
どうしようかと思ったが
誰かがの黒い革靴とブルージーンズが
境界のあたりに脱ぎ捨ててあって
これも悪いことではないのだなぁと分かった
確か今日は金曜日なので
日曜のよるには歩いて街に帰ろう
もし立てなくなっていたら愛らしくして誰かに飼ってもらおう
と思って僕もジーンズを脱いだ。
戻る 編 削 Point(3)