逃亡/マッドビースト
 

 何日歩いたか分からなかったが
 見渡す限りはサバンナで
 振り返るとビル郡が
 しかし小山ほどの連なりで見えたが
 向かっているほうは真っ白に地平だった

 喋るのが億劫だったからって
 歩きすぎだ
 動くものの姿はあったがどれも四足で
 言葉はもうながいこと
 発してもいなければ
 聴こえてもいない

 バオバブに宿って雨のあとの
 空腹に
 無心で貪りついていたそれは
 気が付いてみると大事な白馬だった

 ああもう独りのままなのだなぁ
 と白馬の開いた瞳孔を眺めて思っているのに
 血肉を齧るのをやめられなかった

 何日眠ったかは分からなかっ
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