洗練された人間関係について/しゅう
 
彼女の首にそえられた腕枕には、肘から向こう側が無かった
目隠しをしている
寝息を立てている
肘から向こうの虚空について夢を見る
僕はその虚空に取り残されて、シングルベッドを俯瞰する

ところで、洗練された効率化がゲームの寿命を縮めるって俗説を君はどう思う?
もっと沢山のお金を一瞬で手に入れたい
もっと豊かな経験を
もっと強い力が欲しい
もっと
もっと多くのものを、倒したい
延々と幼稚化していく人生が、洗練された効率化の果てにある
そこでは彼女は眠っているし、腕枕に必要な分だけの人間関係がのびている
人と人が、ゲームと現実が、朝と眠りが、怠惰と祈りが、隔てられている

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