頼むからスケベ話はしないでくれ/
花形新次
砕けたグラスの欠片で
その透明で鋭利な先端で
きみの白い薬指の内側に
すうっと線を引く
朱色の糸が一本
爪の先から降りてきて
僕はそれを
舌ですくってみる
Feよりも軽やかで
ひんやりとした
あまりにもきみらしい
メタルの味と香りを
「なんだかちょっぴり悲しいな」
と感じながら
喉の奥に流し込む
愛してるとは
言えないままで
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