みばう/salco
喪服の下の
白い脚は過去を歩き始めたところ
涼しい顔でさめざめ泣いていても
明日からその真中にあるのは地獄の口
図太く生き残っている女を罰する為
死んだ亭主が夜ごと徘徊する
そのたおやかな厚顔無恥を戒める為
黒枠の亭主が凌辱しに来る
虫すだく夜も
音をひしぐ雪の夜も
満月の純情が直立不動で歌う夜も
清やかな朝の青磁色で顔を洗い
澄まし込んでいる女房に
お前は汚れているのだよと耳打ちする
昼過ぎにはすっかり一日に飽いて
あらぬ方へ歌口ずさんでいた
少女趣味にはほとほと手を焼いていたから
ふらふら歩き回って
生真面目な青年なぞに出くわさぬよう
その頑丈な脊椎や
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