恋人はできたけど/はだいろ
苦手だから、Hはぜんぜんする気なかったのに、
乳首をなめたり、
ふとももをしゃぶったりするうち、
すっかり、彼女のほうが、いたたまれなくなってしまったらしい。
そうは、言わなかったけれど、
きっと、そうだったに、違いない。
ぼくは一生懸命、酔っぱらってたけれど、
頑張った。
でも、
指にやっぱり、血がついてたから、
ゴムをつけようとしたら、
彼女のほうが、すっかり醒めてしまい、
もうどんなに触っても、濡れたりしなかった。
41歳になって、
生まれて初めて、彼女はできたけれど。
恋人と呼んでよいのか、わからない、
37歳の少女だけれど。
ぼくはすっかり傷つけてしまった。
どうしたらいいのか、
もちろん、わからない。
わかるわけがない。
朝の五時半、彼女は帰っていった。
眠気とたたかいながら仕事をして、
帰り、
内幸町ホールで、
落語を聞いて、帰った。
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