とんかつソース/コーリャ
空白をたどる
そうすればぼくたちはみんな
あの場所と呼ばれつづけている場所に
帰れるはずだ
子供の頃
壁を手のひらで撫ぜながら歩いたみたいに
植物のトゲに傷つけられたみたいに
擦り傷をつくりながら
風景をたどっていく
手品によくある
体内から連なる国旗をしゅるしゅる取りだしてみせる芸のように
あなたはその口から言葉を紡いだ
優しいから傷つける言葉は
ノルウェーで
未熟なアイラブユーは
みたことのない紋章
たぶんベラルーシ
あたりだと思う
満月にぼくは怪人になる
鏡粉砕怪人である
家々の姿見を順に回って割ってしまう
自分の姿が反射する間もない
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