夕暮れのひと/
恋月 ぴの
スリのワンピたってお母さんが仕立ててくれたあっぱっぱで
ストンとした裾をパンツの中に押し込み
日の暮れるまで男の子達とザリガニ釣りに興じていた
糸の先につけたスルメイカで面白いほどにマッカチンが釣れて
ブリキのバケツの中は大きなハサミで蠢いていた
ちびっ子がちびっ子だった頃
わたしには帰ることのできる小さな家があって
前掛けをしたお母さんがわたしの帰りを待っていた
戻る
編
削
Point
(28)