フェルメールの窓/A.Yusa
初めて眼にした君は、光と影の交差する部屋の真ん中で、その境界線の上に静かに佇んでいた
睨みつけるような強い眼差しで世界を覗き、
自身を視線に込めて問いかけるように、促すように投げかけている
(光と共に在るべきなのか?闇に抱かれて眠りつくべきなのか…そして、答えを求めて、答えをくれる人を求めて…)
時を照らさない光と、あらゆる自身につきまとった重い影に抗うように
自己を主張する君の凜と伸びた背筋と、海を抱いた双眸に僕はフェルメールの世界を泳ぐ僕の幻を観た
フェルメール・ブルーの鮮やかな憂鬱に抱かれる君の幻に手を差し出して
慌てて引っ込める弱気
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