「春と修羅」についての短い散文/……とある蛙
 
春と修羅について「修羅」という言葉をキーワードとして思うところを書いてみました。

1924年 宮沢賢治27歳の処女詩集

「春と修羅」 自費出版のこの詩集の中の2編に賢治は己の姿を描写しています。
一つは「春と修羅」一つは「春と修羅(序)」です。
春と修羅はタイトル自体明と暗を対比しています。つまり、修羅とは梵語で「光らないもの」、ところが、春は陽光燦々つまり、天上(デーヴァ)devaと同様明るい。
「四月の気層のひかりの底」で、妬みなどで「唾しはぎしりして」往き来している自分は一個の修羅としています。明るい光の中でも「光らない」「光を持たない」者が修羅なのです。
修羅の特徴は怒
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