最初の詩人/ああああ
いち、にの、最初の詩人は、最初の主観で書いていたらしく、それは例えば、
「透明できれいなコップが、清潔そうで私は好きです。」
書くことは、つかんだ糸をはなさないように手繰りよせながら、森の中を歩いていく童話の中の子どもに似ているっていう話だった。だから書くときはトイレットペーパーがベストだと言っていた。文が途切れないからだ。だけども、ぼくが学校の便所から持ち出したトイレットペーパーをプレゼントしたときも彼の態度はそっけなくて、
「シンプルなのがいいんです。ずっと三人称だったのが、最後に一人称になるだけのお話はだめでしょうか?」
「知らない。いんじゃね?」
いち、にの、最初の詩人は
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