影ながら/電灯虫
 

薄めなのにかこつけて 
パジャマ姿で 
入ったばかりの布団から忍び出て
読みかけの新刊コミックを取って
机の下でコソコソ読む。


横断歩道で 
信号が変わるのを待っている。
右顔と半袖からはみ出た右腕が
陽射しに焼かれる。
後頭部でどうにか陽射しを逃れようと
左を向くと生き生きした 
影がよおっと挨拶してきた。
ういっと返事して 
今日もよろしくと
拳を突き出した。

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