影ながら/
電灯虫
薄めなのにかこつけて
パジャマ姿で
入ったばかりの布団から忍び出て
読みかけの新刊コミックを取って
机の下でコソコソ読む。
横断歩道で
信号が変わるのを待っている。
右顔と半袖からはみ出た右腕が
陽射しに焼かれる。
後頭部でどうにか陽射しを逃れようと
左を向くと生き生きした
影がよおっと挨拶してきた。
ういっと返事して
今日もよろしくと
拳を突き出した。
戻る
編
削
Point
(4)