今日ノ夢 /服部 剛
午後の体操が始まると
もの忘れのお爺さんは
何かを思い出したように
皆の輪からむくっと立ち上がり
部屋の外へ歩き出した
つきそいながら隣を歩き
途中でソファに腰を下ろして
ガラス工場で働いた日々や
趣味の天体観測について
30分ほど、ゆっくり聴いた
「部屋の方で皆がピンポン、やってますよ」
「よし、いってみようか」
ソファからむくっと立ち上がった
僕等は並んで
歓声の聞こえる卓球場へ、入っていった
卓球台の前に置かれた2つの椅子に
僕等は腰かけ、かたい握手を交す
ピー!と笛が鳴り
ネット越しに立
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