愛しさの殺人/智鶴
 
哀しくなるほど綺麗な鏡の中から
君の揺れた感情が流れて来るよ
切ないくらいに普通な君の声を聞いて
ただいつか見た痛みを
忘れていたいだけ

寝苦しい夜の中
電灯の下
悲しみを流す君を抱いて
君を殺すことの正しさを問う
君を、世界を
救う筈だった
こんな夢を見るまでは

世界の鼓動が愛しくなって
僕は背中を向けてしまった
「夜の終りを見てみたいな」って
煙みたいに笑って消えた
世界の終りを今


見せるよ


君が描いた僕じゃないよ
奇跡なんて望んでないよ
爪を立てた腕が
悲鳴を上げても君は眠っていて
誰にも邪魔されないように
醜く変身して君を守るよ
夜が崩れていく

この言葉に意味なんてないよ
醜い僕に意味なんてないよ
夜の隙間が僕を照らして
君が僕を知ってしまう

君は狂ってしまうかな
僕を嫌ってしまうかな

僕は狂ってしまうかな
君を嫌ってしまうかな

「見ないで」
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